富山市内で迷子になる
富山駅を背後にして真っ直ぐ歩く。
至る所に像があり橋がある。
見とれて、写真を撮るうちに自分がどこにいるか
わからなくなった。
昔から迷子になりそうにない場所で迷子になる。
iPhoneの位置確認情報を見ながら歩いても迷う。
大阪の川と違って自然と一体になっている。
写真を撮る、横道に入る、撮る。
戻ったつもりが正反対に歩き出す。
池袋駅構内で迷子になったのは仕方ないと思う。
難波駅構内で迷子になるのはおかしい。
方向音痴は治らない。
なのに気ままに歩き回り、撮ることに熱中し
街を眺めているうちに、どこにいるかわからなくなる。
大学受験の日、駅のホームで逆方向の電車に乗った。
新大阪駅から大阪駅に行くつもりがなぜか高槻方面の
電車に乗ってしまう。
環状線で弁天町に行くつもりが、気づいたらUSJだった。
鶴橋駅では環状線に乗り換える階段がわからず
ホームの端から端まで歩いた。
そうやって迷子になりながら、事故にも遭わず
時間に遅れることなくやってきたから開き直る。
どうしようもなくなったら、タクシーに乗ればいい。
迷っているくせに、道の反対側に撮りたい建物を
見つけると渡ってしまう。
そうこうしているうちに、正面に富山駅が見えた。
達成感がすごかった。
2019年10月 富山
